ついにお城に辿り着いた頼子ちゃん、果たして王子様を助けることが出来るのかしら・・・?
〜Beauty and Beast〜
頼子は一目散に城の扉を開け、中へと突進する。すると城の中からとてつもない寒気が襲ってきた。
    頼子は震える身体を抑え、辺りに目を凝らす。そこには村の人々が氷漬けになっている姿がいくつもあった。
    「何・・・これ・・・」想像もしていなかった出来事に、目を疑う。
    「ライコちゃん!!戻ってきてくれたんだねぇ〜♪」
    《愚者》が頼子に抱きつこうと試みる、しかしその作戦は《死神》によって阻まれてしまった。
    「《愚者》・・・これっていったい・・・」《愚者》は少し誇らしげに胸を張り、答える。
    「どーんなもんだぃ!!俺が本気になりゃこれぐらいお茶の子さいさいってもんよっ♪あ、死んではねーから安心しなっ」
    頼子は死んでないと聞いてほっとする、「王子は?」と辺りを見回しながら聞く。
    「それが・・・俺らも必死で探してるんだけど、どこにも居ねーんだよ。」《愚者》は顔を暗くする。
    「城中を探し回ったんだが・・・」《死神》もどこにいるかわからないといった感じだ。
    ―――ひょっとして、西のはずれの部屋?―――
    王子は城の者にも近づかないように言っていた、ならあそこはまだ探していないんじゃなかろうか。
    「あたし、探してくる。」頼子は直感を信じ、西の外れの部屋へと走り出した。 
    「ふふふ・・・もぉ逃げ場はなくなったよ?王子様」
    王子はカインとの攻防の末、城の屋根へ追いやられていた。しかも外は土砂降りの雨が振り出していて、非常に危険な状態だ。
    ―――・・・俺もここまでか・・・―――
    王子は死を覚悟し、目を閉じた。
    「ははっ!!!死ねぇぇ!!!!!!!!」カインが剣を振りかざす。
    その時だった「《魔法使い》!!」王子ははっと気を取り戻し、剣をひらりとかわした。屋根へとでる入り口に確かに頼子の姿が見えた。
    「・・・・ライコ・・・・」戻ってきてくれたのか、そう思うと何故だか自然と力が湧いてきた。
    王子はカインに向き直り、激しい咆哮をあげる。カインに向けて急突進した。
    カインは突然の反撃に驚き、慌てて剣で防御しようとする―――しかし、遅かった。
    ドガァァァン!!!!!!
    カインの身体に強烈なタックルがお見舞いされる、カインは宙に浮き、屋根の上に叩き落された。
    王子はギロリとカインを睨みつける、カインは顔を引きつらせる。
    「わっ悪かった!!僕が間違ってたよ!!許してくれ!もうこんなことはしない!ミーナにも手は出さない!!誓うよ!!」
    カインは必死になって許しを請い始める、頼子はカインをぼこぼこにしてやりたい衝動に駆られた。
    「・・・その言葉、忘れるでないぞ。」王子はそう言うと、頼子をそっと抱きしめた。
    「ライコ・・・戻ってきてくれたのだな・・・。」
    美しい宝石の瞳が、頼子を見つめている。頼子はこくりと頷いた。王子は嬉しそうに微笑むと、いっそう頼子を強く抱きしめる。
    二人がラブラブな世界に入っている隙に、カインはそっと剣を隠し持ち二人に近づいていく。
    「死ねぇぇぇっ!!!!!!!!」
    カインの剣は、王子の脇腹に深く突き刺さった。
    王子の巨体が血を流しながら倒れていく。
    「・・・《魔法使い》!!!!」
    頼子は叫んだ
投稿者後書き