西の外れの部屋に居る王子様を見つけたカイン、王子様はどうなってしまうのかしら・・・?

〜Beauty and Beast〜

カインは一歩、また一歩、王子にゆっくりと向かってくる。しかし王子は身を起こす様子も無い。
「どうしたの?やけに大人しいね・・・まぁ大人しく僕に殺されたほうがいいに決まってるけど。」
カインは王子に剣を向ける、しかし王子は薔薇を見つめたまま動こうとしない。
カインはイラついた口調で、「僕は本気だよ?」と言う。王子は悲しそうな瞳でカインの方を見やった。
「・・・勝手にしろ・・・」
小さくそう呟く、王子は頼子が居なくなってしまった悲しみと寂しさのせいで、戦う気など起きないのだ。
―――王子はそんなことする奴じゃないよ、カインも会えば解かるって。―――
カインは口元に下卑た笑いを浮かべる、嬉しそうに言い放った。「優しすぎて戦えないの?」王子はカインをじろりと睨んだ、カインは王子の視線に怯むことはない、笑いをいっそう広げた。
「なら、ここで死んでも文句無いよね!!」カインは剣を振り下ろす、王子は一瞬躊躇したものの、ひらりとかわした。
カインは憎々しげに、「逃げないでよ」と口にする。王子に向かって走り出した。
「今、楽にしてあげるからさっ!!!!」


「《正義》っ!!道はこっちで合ってるんでしょうね!!」
頼子は城に続く近道を、《戦車》の車で疾走していた。城の者しか知らない道が有ると《正義》が言ったのだ。
《正義》は頼子の髪に引っ付きながらコクコクと頷いた、手を離したら外に放り出されてしまうのだ。
何せ城への近道は、何年もの間人の行き来が無かった為に荒れ果てており、道はがたがたの状態なのである。
頼子は跳ね飛ばされそうになりながらも、必死で車の座席にしがみつく。―――とたん、視界が開けた。「・・・お城だ!!!」いきなりあの城が姿を現したのだ、頼子は思わず《正義》を抱きしめた。
「ありがとう《正義》!!!」
頼子は《戦車》が車を停めるのと同時にドアを開け、勢い良く城に向かって走り出す。―――《魔法使い》!!今助けるよ!!―――

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投稿者後書き

え〜〜っと、第22話です。(たぶん)
次回、ライコとの感動の再会(予定)

 

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