〜Beauty and Beast〜
一方その頃、王子を倒す為城に向かっていたカインたちは、《虫》に遭遇することもなく城に辿り着いてしまった。
カインは民衆と共に、城の大きな扉を力強く押した。空恐ろしい音をたてて扉が開かれる。
『おいっ・・・誰か来たぞ。』
『ライコさんでは無いようだね・・・。』
『ちぇぇ〜〜〜なんでぇ、つまんねーの!!!』
『残念がるより、彼らの侵入を王子に伝える方が先ではないかな?』
『なんで俺が行かなきゃならねーんだよ!!お前さんが行きやがれ!!』
『・・・私が行ってくるよ・・・。』
小さな声での二人の会話は、カインたちの耳に届くことは無い。
《死神》は気づかれぬようそっと王子の部屋へ走り出した。
「・・・出て来い野獣!!居るのは判っている!!」
カインが大きな声で叫んだ、剣を振るいながら辺りの様子をうかがっている。
「醜い野獣め、よくも僕の可愛いミーナを惑わしたな!!許さないっ!!死んで詫びろっ!!!!」
カインの怒声は、城の上にいる王子にも届いているはずだろう。しかし王子が現われる気配はまるで無い。
「・・・ふん、そっちが来ないなら、こちらから行くまでだ!!」カインは手当たりしだいに扉を開けていく。
『まずいぞ《死神》!!俺らだけでも止めねぇと!!』
『解っている!!』
《愚者》と《死神》は同時に飛び出す、《愚者》の手には派手な包みがついた棒が、《死神》の手には鎌が握られていた。
「“凝結”!!」
《愚者》がそう叫ぶと、カインの周りに居た民衆は一瞬にして凍りついてしまった。
「どーだい俺の素敵な力はっ♪」そう言ってビシッとポーズを決めた。(ビシッ)
少しばかり調子に乗っている《愚者》とは違い、《死神》は淡々とした調子で襲い掛かる村人たちをなぎ払っている。
しかし、《愚者》にしろ《死神》にしろ、村人を殺してはいない、助かるように手加減していた。
カインは村人たちの異変にギョッとする、しかし止まろうともせずに階段を上がっていった。キャロラインもカインに続く。
《愚者》も《死神》も、村人たちに手を焼いていてカインを止めることが出来なかった。
カツン・・・カツン・・・
カツン・・・カツン・・・
カツン・・・カツン・・・
ギィィィィィィィッ・・・・・
重々しい音をたてて、西の外れにある部屋の扉が開かれた。
王子はそこに居た、悲しそうな目で、しおれかけたあの薔薇を見つめていた。
「・・・あんたが王子様?」カインは意外そうに語りかける、想像していたものと反するかの様だ。
「ちょっと想像と違うけど、まぁいいさ。」カインは嬉しそうに嗤うと、剣を横にないだ。
「邪魔者には死んでもらうよ、王子様♪」
不適に微笑みながら、そう言った。
投稿者後書き
第21話です、あぁライコはまだお城につかないのかぁ!!!
次回はついにカインちゃんと《魔法使い》様の対決ですよ、たぶん・・・。