王子様の性格の悪さに、機嫌が悪くなってしまった頼子ちゃん。二人は仲良くなれるのかしら・・・?


〜Beauty and Beast〜


「はぁ・・・。」頼子は窓の外を見つめながら、ため息をつく。白い息は宙に漂い、白銀の大地に溶け込んでいく。
「聞いたわよー、王子と喧嘩したんだって?」唯が心配そうに話しかけてくる、頼子はコクリと頷いた。
「どうして喧嘩なんてしたのよ、《虫》から助けてもらったんでしょ?」唯は続けざまに聞いてくる。

「だってさ・・・あいつったら、助けて当然って感じなんだもん。
 あたしに出て行けって言ったくせに。」

頼子は椅子に腰掛け、足をぷらぷら動かす。所帯なさげな動きだ、何かしていないと落ち着かないのだろう。
唯は頼子の言い分に深く頷く、「確かに、王子の性格がひねくれてるのは事実ね。」といったん肯定した。
「でもね」唯はいったん語を切る、少し言いづらそうに切り出した。

「王子は呪いをかけられてから、ずっと気味悪がられて
 ・・・そのせいもあるのかもって思うのよね・・・。」

頼子はハッとした、今まで王子がどれだけ辛い思いをしてきたか・・・頼子はそんなことを考えもしなかった。
「・・・あたし、あいつに謝んなきゃ。」頼子は部屋から出ようとする、しかし唯がその足を止めた。
「なっなんで止めるのさ!!」頼子は尚進もうと試みる、しかし唯はちちちと指を振り、にやりと微笑んだ。
「あともう少しだけ待って見なさい」頼子は良く解からなかったが、取りあえず唯の言う通りにすることにした。
するとその数分後―――。

コンコン。

頼子の部屋のドアが叩かれた、唯がしてやったりと頼子に近づき、耳打ちする。
「きっと王子よ、でもね、機嫌が悪い振りしなさい。絶対に機嫌が直ったって悟られちゃダメよ?」
唯はそう言うとドアを開けた、確かにそこには王子が立っていた。
頼子は頭をひねりつつも、唯の言うことを実践しようと試みた。
「何?あたしになんか用?」頼子はなかなかの名演技を見せる、王子はたじろぎながら口を開いた。

「今宵は・・・クリスマスと言うのだそうだな」

王子は指をパチンと鳴らす、《愚者》と《死神》が大きな袋を持って現われた。
「・・・なにこれ」頼子は目をぱちくりさせながら聞いた。
王子は照れくさそうに顔を背け、「袋を取れば解かる」と言って頼子の部屋から去っていった。
「王子様からライコちゃんへ、愛のプレゼントだとよっ」《愚者》が頼子にそっと囁いた。
頼子は顔を真っ赤にした、唯が袋に巻きついてるリボンに手をかける。
「開けていい?」頼子は小さく頷く、袋の中にあったのは―――。

王子はイラついていた、頼子がなかなか大広間にやって来ないからである。
「《愚者》よ、ちゃんと袋の中にここに来るように書いた紙を入れたのだろうな・・・。」王子は半ばキレ気味に問いただす。
《愚者》はニヤリと笑い、「お前さん、ライコちゃんのドレス姿が見たいからって焦ってんだろ〜〜」とからかう。
そう、王子が頼子に渡した物はドレスだったのだ。大事にしまっておいた年代物の美しいドレスである。
王子は修羅のごとき表情で《愚者》を睨みつける。

「おいおい・・・そんなに怒るなよ、おっ!!ライコちゃんが来たぜ♪」

王子は大広間の入り口を勢い良く見やる、そこには美しい純白のドレスに身を包んだ頼子が立っていた―――。

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投稿者後書き

第16話、ついに次回は踊ります^−^
やっとここまで来たか・・・。
あと数話で完結(予定)です!!!

 

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