お城に辿り着いた頼子ちゃん、果たして無事にお父さんを助ける事は出来るのかしら・・・?


〜Beauty and Beast〜


「・・・誰も居ないのかなぁ・・・?」
頼子はシンと静まりかえった城内に佇む、辺りをキョロキョロと見回した。

―――おぉっ♪可愛い女の子じゃねぇかっ♪―――

―――物音を立てると見つかってしまうよ―――

―――けどよ〜〜可愛い女の子には挨拶しなきゃ失礼ってもんだろぉ?―――

―――・・・勝手にしたまえ―――


頼子は物音に気づき、バッと後ろを振り返る、もちろん誰かが居るはずもない。
「・・・気のせい?」頼子は物音のした方に足を進める―――と。


ドテッ


何かにつまずいて、勢い良くこけてしまった。顔から倒れたためそれほど痛くは無かったが。
「おぉっと、ゴメンよ。痛かったかい?」何者かが呼びかける。
頼子はバッと顔を上げ、「誰?誰か居るの?」と言いながら体勢を立て直す。
「ここだよ、こーこ!!」声は聞こえるものの、一向に姿は見つからない。
「もう!!どこに居るのさ!!」頼子は苛立たしげに地を蹴る、と、何かを踏んづけた。

「痛ってぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

突然の悲鳴に、頼子は思わず後ずさった。じっと眼を凝らすと、声の主を見つけた。
燭台だ、それも顔のついた。タレ目の青年の顔がついたド派手な装飾が施された燭代である。
「・・・燭台が・・・喋った?」頼子はポカンとタレ目の燭台を見つめる。
燭台はちちち、と指を振り、頼子にお辞儀をする。
「俺はただの燭台じゃねぇのさ、俺の名前は《愚者》、君のような可愛い女の子は・・・」
「愛情をこめてフーさん、と呼ぶと良いそうだよ。」
《愚者》と名乗る燭台の後ろから、ピンクの髑髏細工で出来たおどろおどろしい時計が出てきた。
「おいこら《死神》!!それは俺の科白だろうが!!取るんじゃねぇ!」《愚者》はがなる。
《死神》と呼ばれた時計にも、顔がついてる。こちらの顔はどこか女性のような美しい青年だ。
「私は《死神》、君は誰で、どうしてここに来たのか、教えてくれると嬉しいのだが。」
頼子はいきなりの質問に戸惑いつつも、「水元頼子、あたしのお父さんを探しに来たの。」と答える。
《愚者》と《死神》は顔を見合わせ、なにやらひそひそと話し始める。
「・・・居るの?」頼子はおずおずと尋ねる。
二人は小さく頷く、頼子は嬉しそうに二人に詰め寄った。「どこ?どこに居るの?会えるの?」
一気呵成に質問をぶつける。
「・・・それが・・・」《愚者》は言いにくそうに俯きながら言葉を発する。

「残念だが、会わせてやることは出来ん。」

頼子は声の方に目を走らせた、そこにはこの城の主である、王子が立っていた―――。

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投稿者後書

第六話、ルミエール&コグスワース役の精霊登場です。

 

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