森に迷いこみ、お城を見つけた大河お父さん、果たしてそのお城にいるのは誰なのかしら・・・?

〜Beauty and Beast♯3〜


「・・・随分と荒れ果ててるな・・・。」古城には蔦が絡まり、壁は所々ひび割れている。
しんと静まりかえった森の奥深くに、ホラー映画に出てきそうな古城がポツリと建っている・・・。

―――中にはモンスターが隠れてたり・・・何て事は無いよ・・・・な―――

大河は一抹の不安を覚えながらも、古城の重厚そうな扉に手をかける。

ギィィィィィィィィ・・・・

恐怖を募らせるような空恐ろしい音と共に、重厚な扉が開け放たれた。
「・・・誰か居ませんか〜?」大河は周りをキョロキョロと見回しながら城の中に足を踏み入れる。

『おい、久しぶりに人間が来たぞ!!どうする?』
『どうすると言われてもね・・・決めるのは王子であって、私たちではない。』
『まぁそうだけどよぉ・・・!!こっちに来るぞ!隠れろっ!!』

「・・・誰か居るのか?」大河は辺りをもう一度見回した、だが人っ子一人居ない。
「空耳かな・・・」大河はボリボリと天然パーマの頭をかいた―――その時だった。

「誰だ・・・俺の城に許可も無く入って来たのは・・・!!!!」
地を這う様な低い声が、広間に響いた。大河は慌てて状況を説明する。
「あっあの!!道に迷ってしまって!!もう遅い時間ですし、良ければ泊めて欲しいんです。」
だが声の主は大河の弁解など気にも留めない、地を這うような声で一喝する。
「黙れっ!!どの様な理由があろうと俺の城に許可も無く入る事は許さん!!」
声の主がそう言ったのと同時に、大河の体がフワリと空中に浮かんだ。
「なっ・・・!!どうなってるんだ?!!」大河はジタバタと体を動かすが、空を掻くのみである。
声の主はゆっくりと大河の体を自分のもとへと引き寄せる、薄暗い月明かりに、その姿が映し出された。
「・・・ひぃっ!!」大河は思わず恐怖の声をあげてしまった、あまりにも醜い獣の顔だった。
「貴様・・・俺の顔を醜いと思ったな?!!」声の主はあの、魔女に姿を変えられた王子だったのだ。

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投稿者後書き

第三話、大河さん大ピンチです。
どうなる!!大河さん!!

 

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