「本気で言っているのか?大河新次郎」
僕は嘲笑に見えるであろう笑みを浮かべる
「昴さん?」
「僕が君と結婚?たちの悪い冗談としか思えないね。
君は昴に妻になって家庭に入れというのか?」
「そんなつもりじゃありません!
もちろん華撃団の仕事もシアターのダンサーとしての仕事も続けて下さってかまいません
ぼくは、貴女といっしょに生きていきたいだけなんです」

君はどこまでも真摯でまっすぐだ

「いっしょに?莫迦な事をいうもんじゃない。
僕は自分1人で生きていける、人と共に歩んでいくつもりなんてない」

君と出会ってから、君と共にずっと過せたらどんなに幸せだろうかと何度思ったかしれない

「どうやら、僕と君の間には考え方のすれ違いがあったようだね
僕が欲しかったのは楽しい時を過せる恋人であって家族じゃない」

君と過したこの2年は、それまで僕が過した年月とは比較にならない程幸せだった。
君と共にいられるのなら、それは恋人とか家族とか形式なんてどうでもいいんだ。

「どうやら君に勘違いをさせてしまったようだ。
その点については謝罪するよ。すまなかったね。大河」

そんな、悲しそうな顔をしないでくれ。
僕よりもっとかわいくて、守ってあげたくなるような
そんな女性が君にはふさわしい
僕のように、共に戦う相手ではなく、戦いに疲れた君が帰って安らげる場所を
作ってくれるような人がいい
これは、僕のエゴかもしれない
僕の描いた「君の幸せ」を押し付けているだけかもしれない

「そろそろ潮時のようだし、恋人ごっこはこれで終わりだ。
この2年、楽しかったよ。」

でも、僕は自分が君を幸せに出来るとは思えないんだ

「さよなら、大河」

ありがとう新次郎