創作部

◆ストーリー

ライコの幼少期時代に飛ばされた《魔法使い》は…

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◇ログ
  
[50] しかし…何故《魔法使い》はこのような場所にいるのだ?今、《女教皇》は一体…。
[51] 《魔法使い》はそのように思いながらも、愛おしそうな目で幼いライコを見ていた。
[52] ライコ「あのね、まほうつかいさん。わたしも大きくなったらお空とべるようになるかなぁ?」
[53] 《魔法使い》「・・・ああ。そうだな」
[54] ライコ「ホント?やったぁ!あたしね、お空飛んで、いろいろな国に行きたいの!」
[55] いろいろな国・・・?そんなこと、ライコは一言も言ってなかったが・・・。
[56] ライコ「そうしたら、いっぱいおともだちつくるの!」
[57] 《魔法使い》「友達というものは、そんなにたくさんほしいのか?」
[58] ライコ「だって、あたしひとりっこだもん。みんな、おにーちゃんやおねーちゃんとか、いもうととかおとうととかいて、おうちでもたのしそうなんだもん」
[59] ライコの顔が、さびしそうだ。そう思って、《魔法使い》が、何かかける言葉を捜す。だが、それからもライコは話した。
[60] ライコ「パパとママがけんかしてて、あたし、それみてるのがすっごくいやで・・・。でも、おにーちゃんとかがいっしょにいれば、そういうとき、いっしょにいてくれるもん。そうしたら、あたし、がんばれるもん」
[61] 《魔法使い》「ならば、何故、その2人を仲良くして欲しいと、願わないのだ?」
[62] ライコ「おねがいしたよ。クリスマスに、パパとママがなかよくなるように、って。でも、」
[63] 《魔法使い》「でも?なんだ?」
[64] ライコ「おねがい、きいてくれなかったの。プレゼントいらないから、なかよくなって、って。でも、なかよくならなかった」
[65] 《魔法使い》「だから、あきらめたのか」
[66] ライコ「だって・・・。あたしがパパにやめてって、言ったら、こどもはだまってなさい!っておこられたの」
[67] 《魔法使い》「なるほど、な」
[68] そう呟いて《魔法使い》は小さく溜息をつく。
[69] ふと気づくと赤い風船が昇ってきている。どこからか飛ばされたのだろう。
[70] ライコ「ねえまほうつかいさん、あれとって」
[71] 《魔法使い》「・・・・・。空を飛びたいのだろう?自分でとればよいのではないか。」
[72] ライコ「幼いライコは、しゅんとした顔になる」
[73] ライコ「あたしじゃ、届かないんだもん。」
[74] 幼い瞳が風船を追っている。
[75] ライコ「……。」
[76] 唐突に、逃げるように、それから視線を外した。
[77] ライコ「……。」
[78] 《魔法使い》「……。」
[79] ライコ「…いい。……いらない。」
[80] くるりと、風船にも《魔法使い》にも背中を向けてしまう。
[81] 《魔法使い》「勘違いするな。今から《魔法使い》が風船のところに連れて行ってやろうというのだ。《魔法使い》が風船のところに近づいたら、直接とるがいい。」
[82] それを聞いて幼いライコの顔は、パッと明るくなった。
[83] ライコ「ほんと!?やった、ありがとう!!」
[84] 《魔法使い》「ふん。」
[85] 《魔法使い》は照れてた顔を隠すように顔をそむけた。
[86] ライコ「あっ!ふうせんがとおくにいっちゃう!はやくはやくっ」
[87] 《魔法使い》「ライコはせっかちだなァ。焦らずともよいだろう?」
[88] だが、風船は遠くへ行ってしまった。
[89] ライコ「え〜んえ〜ん《まほうつかい》さ〜ん ふうせんとんでっちゃったよ〜え〜ん」
[90] ライコ「てゆうかなんでわたしのこと「ライコ」ってよぶの??」
[91] 《魔法使い》「幼くともライコはライコだからなァ。」
[92] ライコ「あたしは、ライコじゃなくて、「みなもとよりこ」っていうんだよ」
[93] 《魔法使い》「いや、ライコだ。」
[94] ライコ「ぶー」
[95] 幼いライコは、頬を膨らます。それを見た《魔法使いは》、微笑ましそうにフッと笑った。
[96] ???「上手くいっているようであるな。」
[97] 《魔法使い》とライコを、遠目から見守るようにして眺めている者がいる。《審判》達だ。
[98] 《力》「上手くいかなければ、《魔法使い》をここに飛ばした意味がありませんわ。」
[99] 《審判》「うむ」
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