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	| [1] 《力》 | 「"射出"!」 | 
	| [2] 《魔法使い》 | 「な、何だと!」 | 
	| [3] 《女教皇》 | 「《魔法使い》!?《魔法使い》ーーっっ!!」 | 
	| [4] | 今はフェーデも受けていない。つかの間の平和な時だった。少なくともつい先ほど、何の前触れもなく《力》が2人の前に現われるまでは。 | 
	| [5] 《女教皇》 | 「ちょっとっ!!《魔法使い》をどこにやったのっ!?」 | 
	| [6] 《力》 | 「心配する事はありませんわ。」 | 
	| [7] 《審判》 | 「《魔法使い》は、ある出合いを果たさなければならないのだ。出合いを果たしたら無事に戻ってくるであろう」 | 
	| [8] 《女教皇》 | 「出会い!?誰と!?」 | 
	| [9] | 眉間に皺を寄せて詰め寄ってくる《女教皇》を、《審判》と《力》は涼し気な表情のままやり過ごす | 
	| [10] 《審判》 | 「これはアカシック・レコードに記されていることである」 | 
	| [11] 《力》 | 「必然ですわ。」 | 
	| [12] 《女教皇》 | 「ちょっと!?待ちなさいよーーっっ!!」 | 
	| [13] | 謎めいた言葉だけを残し、《力》と《審判》は来た時同様に突然消えてしまった。わけもわからず呆然とする《女教皇》を1人残して。 | 
	| [14] 《女教皇》 | 「・・・・・《魔法使い》・・・っ」 | 
	| [15] | ぎゅっと拳を強く握り、唇を噛み締め中空を見つめる。《魔法使い》の纏うマントと同じ色の空。けれど《女教皇》の求める存在はどんなに霊格を研ぎすましても感じられない。《力》の“射出”は場所だけでなく時も飛ばすのだ。この時代にはいない可能性が高い | 
	| [16] | けれど、《女教皇》には時を越える事は出来ない。《魔法使い》を探しに行く事さえも。仮に《運命の輪》を探し出して《魔法使い》のいる時代と場所に連れていって欲しいと頼んでも、《審判》が『アカシック・レコードに記されていること』と言った以上、拒否される可能性の方が高い。 | 
	| [17] 《女教皇》 | 「《魔法使い》・・・早く戻ってきてよ・・・っ」 | 
	| [18] | 今はただ、《審判》の言った『無事に戻ってくる』という言葉を信じて待つ事しか、《女教皇》は出来なかった・・・・ | 
	| [19] | 一方その頃。《力》の“射出”でどこかに飛ばされた《魔法使い》は、見覚えのない公園に現れていた。数人の子供が遊んでいる。 | 
	| [20] 《魔法使い》 | 「《力》めっ。《魔法使い》を一体どこに飛ばしたと言うのだ」 | 
	| [21] | 苦々しく舌打ちして回りを見渡すと、何故だか1人の幼い少女の姿が目に飛び込んできた。他の子供はみな友達と遊んでいるのに、その子だけ1人きりでジャングルジムにもたれ掛かって、遊んでいる子供たちをただ見つめていた | 
	| [22] | 寂し気な表情を浮かべているその少女の顔だちが、《魔法使い》の記憶を刺激する | 
	| [23] 《魔法使い》 | 「・・・・まさか・・・ライコなのか・・・!?」 | 
	| [24] | 《魔法使い》は数瞬迷った。しかし、結局体を物質化することに決めた。 | 
	| [25] ライコ | 「・・・あなただぁれ?」 | 
	| [26] 《魔法使い》 | 「・・・《魔法使い》だ」 | 
	| [27] | 精霊はうそはつけない。《魔法使い》はそのまま名乗った。 | 
	| [28] ライコ | 「まほうつかい?まほうつかいさんなの?」 | 
	| [29] 《魔法使い》 | 「そうだ。おまえの名前は?」 | 
	| [30] ライコ | 「よりこ。みなもとよりこっていうの」 | 
	| [31] | やはりライコか・・・。偶然にしろ、まさか幼少のライコに出会うとは思わなかったな | 
	| [32] | 心の中で《魔法使い》はそうつぶやくと、ライコにまた目を向ける。すると、ライコはじっと《魔法使い》を見ていた。 | 
	| [33] ライコ | 「ねぇ、まほうつかいさん。お願いがあるの」 | 
	| [34] 《魔法使い》 | 「何だ?言ってみろ。」 | 
	| [35] ライコ | 「あのね・・・わたし、そらをとんでみたいの!」 | 
	| [36] 《魔法使い》 | 「空?」 | 
	| [37] ライコ | 「うん、空・・・。」 | 
	| [38] | そういって幼いライコは、頭上に広がる真っ青な空を見上げた。 | 
	| [39] ライコ | 「きれいでしょ?あーんなきれいな空、とべたらすっごく気持ちいいだろうなぁって思ったの。だめ?」 | 
	| [40] | 《魔法使い》も、真っ青な空を見上げてこう言った。 | 
	| [41] 《魔法使い》 | 「いいだろう・・・」 | 
	| [42] ライコ | 「本当?」 | 
	| [43] 《魔法使い》 | 「・・・《魔法使い》は嘘が嫌いだ。」 | 
	| [44] | 憮然とした表情の《魔法使い》と、空を飛べると聞いて喜ぶライコ。 | 
	| [45] ライコ | 「やったー!ありがとう、まほうつかいさん。」 | 
	| [46] | 幼いライコは素直に喜んだ。 | 
	| [47] | そして、 | 
	| [48] ライコ | 「わーい、お空とんでるよ!」 | 
	| [49] | 幼いライコは、《魔法使い》の背中に乗りながら嬉しそうにはしゃいでいる。 | 
	| [50] | しかし…何故《魔法使い》はこのような場所にいるのだ?今、《女教皇》は一体…。 | 
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