創作部

◆ストーリー

ライコの幼少期時代に飛ばされた《魔法使い》は…

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◇ログ
  
[1] 《力》「"射出"!」
[2] 《魔法使い》「な、何だと!」
[3] 《女教皇》「《魔法使い》!?《魔法使い》ーーっっ!!」
[4] 今はフェーデも受けていない。つかの間の平和な時だった。少なくともつい先ほど、何の前触れもなく《力》が2人の前に現われるまでは。
[5] 《女教皇》「ちょっとっ!!《魔法使い》をどこにやったのっ!?」
[6] 《力》「心配する事はありませんわ。」
[7] 《審判》「《魔法使い》は、ある出合いを果たさなければならないのだ。出合いを果たしたら無事に戻ってくるであろう」
[8] 《女教皇》「出会い!?誰と!?」
[9] 眉間に皺を寄せて詰め寄ってくる《女教皇》を、《審判》と《力》は涼し気な表情のままやり過ごす
[10] 《審判》「これはアカシック・レコードに記されていることである」
[11] 《力》「必然ですわ。」
[12] 《女教皇》「ちょっと!?待ちなさいよーーっっ!!」
[13] 謎めいた言葉だけを残し、《力》と《審判》は来た時同様に突然消えてしまった。わけもわからず呆然とする《女教皇》を1人残して。
[14] 《女教皇》「・・・・・《魔法使い》・・・っ」
[15] ぎゅっと拳を強く握り、唇を噛み締め中空を見つめる。《魔法使い》の纏うマントと同じ色の空。けれど《女教皇》の求める存在はどんなに霊格を研ぎすましても感じられない。《力》の“射出”は場所だけでなく時も飛ばすのだ。この時代にはいない可能性が高い
[16] けれど、《女教皇》には時を越える事は出来ない。《魔法使い》を探しに行く事さえも。仮に《運命の輪》を探し出して《魔法使い》のいる時代と場所に連れていって欲しいと頼んでも、《審判》が『アカシック・レコードに記されていること』と言った以上、拒否される可能性の方が高い。
[17] 《女教皇》「《魔法使い》・・・早く戻ってきてよ・・・っ」
[18] 今はただ、《審判》の言った『無事に戻ってくる』という言葉を信じて待つ事しか、《女教皇》は出来なかった・・・・
[19] 一方その頃。《力》の“射出”でどこかに飛ばされた《魔法使い》は、見覚えのない公園に現れていた。数人の子供が遊んでいる。
[20] 《魔法使い》「《力》めっ。《魔法使い》を一体どこに飛ばしたと言うのだ」
[21] 苦々しく舌打ちして回りを見渡すと、何故だか1人の幼い少女の姿が目に飛び込んできた。他の子供はみな友達と遊んでいるのに、その子だけ1人きりでジャングルジムにもたれ掛かって、遊んでいる子供たちをただ見つめていた
[22] 寂し気な表情を浮かべているその少女の顔だちが、《魔法使い》の記憶を刺激する
[23] 《魔法使い》「・・・・まさか・・・ライコなのか・・・!?」
[24] 《魔法使い》は数瞬迷った。しかし、結局体を物質化することに決めた。
[25] ライコ「・・・あなただぁれ?」
[26] 《魔法使い》「・・・《魔法使い》だ」
[27] 精霊はうそはつけない。《魔法使い》はそのまま名乗った。
[28] ライコ「まほうつかい?まほうつかいさんなの?」
[29] 《魔法使い》「そうだ。おまえの名前は?」
[30] ライコ「よりこ。みなもとよりこっていうの」
[31] やはりライコか・・・。偶然にしろ、まさか幼少のライコに出会うとは思わなかったな
[32] 心の中で《魔法使い》はそうつぶやくと、ライコにまた目を向ける。すると、ライコはじっと《魔法使い》を見ていた。
[33] ライコ「ねぇ、まほうつかいさん。お願いがあるの」
[34] 《魔法使い》「何だ?言ってみろ。」
[35] ライコ「あのね・・・わたし、そらをとんでみたいの!」
[36] 《魔法使い》「空?」
[37] ライコ「うん、空・・・。」
[38] そういって幼いライコは、頭上に広がる真っ青な空を見上げた。
[39] ライコ「きれいでしょ?あーんなきれいな空、とべたらすっごく気持ちいいだろうなぁって思ったの。だめ?」
[40] 《魔法使い》も、真っ青な空を見上げてこう言った。
[41] 《魔法使い》「いいだろう・・・」
[42] ライコ「本当?」
[43] 《魔法使い》「・・・《魔法使い》は嘘が嫌いだ。」
[44] 憮然とした表情の《魔法使い》と、空を飛べると聞いて喜ぶライコ。
[45] ライコ「やったー!ありがとう、まほうつかいさん。」
[46] 幼いライコは素直に喜んだ。
[47] そして、
[48] ライコ「わーい、お空とんでるよ!」
[49] 幼いライコは、《魔法使い》の背中に乗りながら嬉しそうにはしゃいでいる。
[50] しかし…何故《魔法使い》はこのような場所にいるのだ?今、《女教皇》は一体…。
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