創作部

◆ストーリー

ライコの幼少期時代に飛ばされた《魔法使い》は…

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◇ログ
  
[1] 《力》「"射出"!」
[2] 《魔法使い》「な、何だと!」
[3] 《女教皇》「《魔法使い》!?《魔法使い》ーーっっ!!」
[4] 今はフェーデも受けていない。つかの間の平和な時だった。少なくともつい先ほど、何の前触れもなく《力》が2人の前に現われるまでは。
[5] 《女教皇》「ちょっとっ!!《魔法使い》をどこにやったのっ!?」
[6] 《力》「心配する事はありませんわ。」
[7] 《審判》「《魔法使い》は、ある出合いを果たさなければならないのだ。出合いを果たしたら無事に戻ってくるであろう」
[8] 《女教皇》「出会い!?誰と!?」
[9] 眉間に皺を寄せて詰め寄ってくる《女教皇》を、《審判》と《力》は涼し気な表情のままやり過ごす
[10] 《審判》「これはアカシック・レコードに記されていることである」
[11] 《力》「必然ですわ。」
[12] 《女教皇》「ちょっと!?待ちなさいよーーっっ!!」
[13] 謎めいた言葉だけを残し、《力》と《審判》は来た時同様に突然消えてしまった。わけもわからず呆然とする《女教皇》を1人残して。
[14] 《女教皇》「・・・・・《魔法使い》・・・っ」
[15] ぎゅっと拳を強く握り、唇を噛み締め中空を見つめる。《魔法使い》の纏うマントと同じ色の空。けれど《女教皇》の求める存在はどんなに霊格を研ぎすましても感じられない。《力》の“射出”は場所だけでなく時も飛ばすのだ。この時代にはいない可能性が高い
[16] けれど、《女教皇》には時を越える事は出来ない。《魔法使い》を探しに行く事さえも。仮に《運命の輪》を探し出して《魔法使い》のいる時代と場所に連れていって欲しいと頼んでも、《審判》が『アカシック・レコードに記されていること』と言った以上、拒否される可能性の方が高い。
[17] 《女教皇》「《魔法使い》・・・早く戻ってきてよ・・・っ」
[18] 今はただ、《審判》の言った『無事に戻ってくる』という言葉を信じて待つ事しか、《女教皇》は出来なかった・・・・
[19] 一方その頃。《力》の“射出”でどこかに飛ばされた《魔法使い》は、見覚えのない公園に現れていた。数人の子供が遊んでいる。
[20] 《魔法使い》「《力》めっ。《魔法使い》を一体どこに飛ばしたと言うのだ」
[21] 苦々しく舌打ちして回りを見渡すと、何故だか1人の幼い少女の姿が目に飛び込んできた。他の子供はみな友達と遊んでいるのに、その子だけ1人きりでジャングルジムにもたれ掛かって、遊んでいる子供たちをただ見つめていた
[22] 寂し気な表情を浮かべているその少女の顔だちが、《魔法使い》の記憶を刺激する
[23] 《魔法使い》「・・・・まさか・・・ライコなのか・・・!?」
[24] 《魔法使い》は数瞬迷った。しかし、結局体を物質化することに決めた。
[25] ライコ「・・・あなただぁれ?」
[26] 《魔法使い》「・・・《魔法使い》だ」
[27] 精霊はうそはつけない。《魔法使い》はそのまま名乗った。
[28] ライコ「まほうつかい?まほうつかいさんなの?」
[29] 《魔法使い》「そうだ。おまえの名前は?」
[30] ライコ「よりこ。みなもとよりこっていうの」
[31] やはりライコか・・・。偶然にしろ、まさか幼少のライコに出会うとは思わなかったな
[32] 心の中で《魔法使い》はそうつぶやくと、ライコにまた目を向ける。すると、ライコはじっと《魔法使い》を見ていた。
[33] ライコ「ねぇ、まほうつかいさん。お願いがあるの」
[34] 《魔法使い》「何だ?言ってみろ。」
[35] ライコ「あのね・・・わたし、そらをとんでみたいの!」
[36] 《魔法使い》「空?」
[37] ライコ「うん、空・・・。」
[38] そういって幼いライコは、頭上に広がる真っ青な空を見上げた。
[39] ライコ「きれいでしょ?あーんなきれいな空、とべたらすっごく気持ちいいだろうなぁって思ったの。だめ?」
[40] 《魔法使い》も、真っ青な空を見上げてこう言った。
[41] 《魔法使い》「いいだろう・・・」
[42] ライコ「本当?」
[43] 《魔法使い》「・・・《魔法使い》は嘘が嫌いだ。」
[44] 憮然とした表情の《魔法使い》と、空を飛べると聞いて喜ぶライコ。
[45] ライコ「やったー!ありがとう、まほうつかいさん。」
[46] 幼いライコは素直に喜んだ。
[47] そして、
[48] ライコ「わーい、お空とんでるよ!」
[49] 幼いライコは、《魔法使い》の背中に乗りながら嬉しそうにはしゃいでいる。
[50] しかし…何故《魔法使い》はこのような場所にいるのだ?今、《女教皇》は一体…。
[51] 《魔法使い》はそのように思いながらも、愛おしそうな目で幼いライコを見ていた。
[52] ライコ「あのね、まほうつかいさん。わたしも大きくなったらお空とべるようになるかなぁ?」
[53] 《魔法使い》「・・・ああ。そうだな」
[54] ライコ「ホント?やったぁ!あたしね、お空飛んで、いろいろな国に行きたいの!」
[55] いろいろな国・・・?そんなこと、ライコは一言も言ってなかったが・・・。
[56] ライコ「そうしたら、いっぱいおともだちつくるの!」
[57] 《魔法使い》「友達というものは、そんなにたくさんほしいのか?」
[58] ライコ「だって、あたしひとりっこだもん。みんな、おにーちゃんやおねーちゃんとか、いもうととかおとうととかいて、おうちでもたのしそうなんだもん」
[59] ライコの顔が、さびしそうだ。そう思って、《魔法使い》が、何かかける言葉を捜す。だが、それからもライコは話した。
[60] ライコ「パパとママがけんかしてて、あたし、それみてるのがすっごくいやで・・・。でも、おにーちゃんとかがいっしょにいれば、そういうとき、いっしょにいてくれるもん。そうしたら、あたし、がんばれるもん」
[61] 《魔法使い》「ならば、何故、その2人を仲良くして欲しいと、願わないのだ?」
[62] ライコ「おねがいしたよ。クリスマスに、パパとママがなかよくなるように、って。でも、」
[63] 《魔法使い》「でも?なんだ?」
[64] ライコ「おねがい、きいてくれなかったの。プレゼントいらないから、なかよくなって、って。でも、なかよくならなかった」
[65] 《魔法使い》「だから、あきらめたのか」
[66] ライコ「だって・・・。あたしがパパにやめてって、言ったら、こどもはだまってなさい!っておこられたの」
[67] 《魔法使い》「なるほど、な」
[68] そう呟いて《魔法使い》は小さく溜息をつく。
[69] ふと気づくと赤い風船が昇ってきている。どこからか飛ばされたのだろう。
[70] ライコ「ねえまほうつかいさん、あれとって」
[71] 《魔法使い》「・・・・・。空を飛びたいのだろう?自分でとればよいのではないか。」
[72] ライコ「幼いライコは、しゅんとした顔になる」
[73] ライコ「あたしじゃ、届かないんだもん。」
[74] 幼い瞳が風船を追っている。
[75] ライコ「……。」
[76] 唐突に、逃げるように、それから視線を外した。
[77] ライコ「……。」
[78] 《魔法使い》「……。」
[79] ライコ「…いい。……いらない。」
[80] くるりと、風船にも《魔法使い》にも背中を向けてしまう。
[81] 《魔法使い》「勘違いするな。今から《魔法使い》が風船のところに連れて行ってやろうというのだ。《魔法使い》が風船のところに近づいたら、直接とるがいい。」
[82] それを聞いて幼いライコの顔は、パッと明るくなった。
[83] ライコ「ほんと!?やった、ありがとう!!」
[84] 《魔法使い》「ふん。」
[85] 《魔法使い》は照れてた顔を隠すように顔をそむけた。
[86] ライコ「あっ!ふうせんがとおくにいっちゃう!はやくはやくっ」
[87] 《魔法使い》「ライコはせっかちだなァ。焦らずともよいだろう?」
[88] だが、風船は遠くへ行ってしまった。
[89] ライコ「え〜んえ〜ん《まほうつかい》さ〜ん ふうせんとんでっちゃったよ〜え〜ん」
[90] ライコ「てゆうかなんでわたしのこと「ライコ」ってよぶの??」
[91] 《魔法使い》「幼くともライコはライコだからなァ。」
[92] ライコ「あたしは、ライコじゃなくて、「みなもとよりこ」っていうんだよ」
[93] 《魔法使い》「いや、ライコだ。」
[94] ライコ「ぶー」
[95] 幼いライコは、頬を膨らます。それを見た《魔法使いは》、微笑ましそうにフッと笑った。
[96] ???「上手くいっているようであるな。」
[97] 《魔法使い》とライコを、遠目から見守るようにして眺めている者がいる。《審判》達だ。
[98] 《力》「上手くいかなければ、《魔法使い》をここに飛ばした意味がありませんわ。」
[99] 《審判》「うむ」
[100] 《審判》は、力強くうなづいた。
[101] 《審判》「《魔法使い》と水元頼子の出会いは、運命によってすでに決められていた。」
[102] 《力》「二人は、すでにこの時代で出会っていた。・・・。出会わなければいけなかったのですわ。」
[103] そう言って《力》は、運命の約束事として、と付け加えた。
[104] 《審判》「ここでの出会いが、すべての始まりとなる。」
[105] 《力》「そして、《皇帝》、《女帝》に受け継がれますわ。」
[106] ゥゥゥ。
[107] 《審判》「一通り、《魔法使い》の用は終わった。」
[108] 《力》「ええ。それでは、《魔法使い》を元の時代に戻しましょう。」
[109] 気配を感じて、《魔法使い》は後ろを振り返る。
[110] 《魔法使い》「《審判》、《力》!!」
[111] 《力》「この時代でのあなたの仕事は終わりましたわ。私の象徴の力で元の時代へお送りいたします。」
[112] 《魔法使い》「何だと・・・?」
[113] 驚愕の表情を隠しきれない《魔法使い》と、何となく意味ありげな笑顔を浮かべて近寄ってくる《審判》の目線がぶつかった。
[114] 《審判》「いかがであったかな。水元頼子の過去は。」
[115] そう言って《審判》は、《力》に向けて顎をしゃくる。
[116] 《力》「ええ、わかりましたわ」
[117] “射出!”
[118] そして、《魔法使い》は姿を消した。元の時代に戻ったのである。
[119] ライコ「まほうつかいさん・・・?」
[120] 目の前にいた魔法使いが急に独り言を始めたかと思うと、目の前から姿を消した。そのことに、幼いライコは激しく驚いていた。
[121] そして、時間を飛ばされた魔法使いは
[122] ???「・・・うつかい、まほうつかい!」
[123] 誰かが《魔法使い》を呼んでいる。
[124] 《女教皇》「《魔法使い》!!」
[125] 《魔法使い》「《女教皇》・・・?」
[126] 何故か、《魔法使い》はカードの状態で《女教皇》の目の前に浮いていた。
[127] 《女教皇》「大丈夫なの、《魔法使い》!」
[128] 《魔法使い》「あ、あぁ…。《力》に飛ばされてきた。」
[129] そういってふと《女教皇》の顔をみた《魔法使い》が「ふっ」と笑う
[130] 《女教皇》「?」
[131] 《魔法使い》の表情に怪訝な顔をしてしまう《女教皇》。
[132] 《女教皇》「なに???」
[133] 《魔法使い》「《魔法使い》のことがそこまで心配だったか」
[134] 《女教皇》は顔を赤くする。
[135] 《女教皇》「あ、あのねぇ!」
[136] 《魔法使い》「ハハハハハ!!」
[137] いつもどおりの光景。それは、《皇帝》と《女帝》になっても受け継がれるだろう。
[138] そして、その光景はライコと《魔法使い》から始まる。
[139] 《審判》「そしてそれ以前にも出会いはあった、か」
[140] 遠目で《審判》が、彼らを見つめていた。
[141] 《審判》「今回の出会いが、彼らにどのような影響を与えるであろうな。」
[142] そういうと、《審判》は時間移動によって姿を消した。
[143] いつも変わらぬ関係、そして不思議な出会い。
[144] 彼らは、いつまでもそれを忘れないだろう。
[145] FIN
[146] 第2話
[147] 《審判》「今度は誰を飛ばすのだ?」
[148] 《運命の輪》「そうですね・・・《女教皇》ですわ。」
[149] 《力》「でも《女教皇》はやめておいたほうが良いわ。《魔法使い》が心配するわよ。」
[150] 《審判》「でもこれは必然だ。」
[151] 《審判》は重苦しく行った。
[152] 《力》「では、行きましょう。」
[153] 《運命の輪》「・・・・・・《女教皇》に輪の祝福のあらんことを」
[154] 《力》と《審判》の二精霊が姿を消したのを確かめてから、《運命の輪》がポソリと呟いた。
[155] 《悪魔》「いいな〜ティターンズだけどっかに飛ばしてもらえてさ〜けっ」
[156] 《月》「ほんとほんと〜いいな〜いいな〜」
[157] 隠れて見ている《悪魔》と《月》であった。
[158] 《星》「こんなところで何をしておるのじゃ」
[159] 《悪魔》「げっでか乳!!ま〜たいばりに来たの〜?どっかいきなさいよばかっ」
[160] こっそり二人から離れる《月》であった。
[161] 二人は乱闘中…
[162] そのころ、《女教皇》と《魔法使い》は…
[163] 《女教皇》「《力》・・・それに《審判》まで・・・今度はいったい何を?」
[164] 《審判》「何度も御主らの中を邪魔する気はないのだがな・・・。」
[165] そう言いつつ、《審判》は象徴の力を《魔法使い》に向けて発動する。
[166] 《審判》「vau!」
[167] 《魔法使い》「何っ?」
[168] 《力》「射出!!」
[169] 《女教皇》「えっ?キャアアアアー!」
[170] 《魔法使い》「《女教皇》!?」
[171] 驚いている《魔法使い》をよそに、時間移動をする《審判》と《力》。
[172] 《力》「大丈夫ですわ。ちゃんと私が貴方の元へ彼女をお送りいたしますから・・・。」
[173] 一方、時間を飛ばされた《女教皇》は・・・。
[174] 《女教皇》「・・・ここ、何処・・・?」
[175] 戸惑って辺りを見回す。
[176] ???「ライコー、おは・・・え?」
[177] 《女教皇》「・・・唯・・・。」
[178] 唯「な・・・によ、これ・・・。」
[179] 《女教皇》は、非物質の状態なので、唯には声を聞く事が敵わない。
[180] 唯「帰るって・・・どこに・・・。」
[181] 唯の持っているメモには、「ごめん、帰る。」とだけ記されていた。
[182] 唯「ライコ・・・どこ!?何処にいるの?何ふざけてるのよ・・・出て来てよ!」
[183] 《女教皇》「唯・・・そうか、ここ・・・あの日なんだ・・・。」
[184] 唯「お願いだから出てきてよ!独りにしないでよ!なんで・・・なんで、こんないきなり・・・。」
[185] そう言って泣き崩れる唯。それをただ見守る事しかできない《女教皇》。
[186] 《女教皇》「ゆ、唯・・・・・・」
[187] 唯「いつも誰かにおいてかれちゃうのよね・・・私って」
[188] そっと涙を流す唯。
[189] 唯「ねえ、お願いだから出てきてよ!」
[190] 《女教皇》はたまらなくなって物質の状態に転換させた・・・
[191] 《女教皇》「唯・・・」
[192] 唯「あ・・・あなた・・・だ・・・れ・・・?」
[193] 《女教皇》「あ、あたし…(どうしよう嘘はつけないし)」
[194] 唯「「その顔…もしかして、ライコなの…?」」
[195] え〜い!こうなりゃヤケだ!
[196] 《女教皇》「実はライコさんから伝言を預かってきたの。」
[197] 唯「え・・?ライコから?どうしてあなたが来たの?ライコは?」
[198] ますます状況が悪くなってきた《女教皇》であった。
[199] 《女教皇》「あたしは、ライコの分身・・・。ライコは、水元頼子はもうこの時代にはいないの・・・。」
[200] 唯「・・・そう・・・。また、私をおいてっちゃったんだ。ジョウみたいに・・・。」
[201] 《女教皇》「そうじゃない、そうじゃないよ、唯!」
[202] 必死に訴える《女教皇》。でも、唯の涙を見て、何も言えなくなってしまった・・・。
[203] 《女教皇》「唯・・・」
[204] どうすれば・・・っ。ホントのこと言うワケにもいかないし・・・。どうしよう。
[205] 唯「当事者以外には言えない事が起こっているのよね?わかる、分かってるつもりだけど、でも・・・っ!」
[206] 《女帝》「《女教皇》」
[207] 時間移動をしてきたのだろう、いきなり呼ばれた《女教皇》は、ばっと振り向く
[208] 《女教皇》「《女帝》っ」
[209] 《女帝》「何?」
[210] 唯「えっあなただれ?」
[211] 《女教皇》「(女帝・・・・・・まさか霊格を・・・・・・)どうしてここに・・・・・・」
[212] 唯「ねぇ・・・どうしてあなた達ライコに似ているの?」
[213] 《女帝》「そりゃ水元頼子に・・・」
[214] 似てるわよだって私は水元頼子だもん《女教皇》もね  と言いそうになった《女帝》の口を、あわててふさぐ《女教皇》。
[215] 《女教皇》「何考えてんのよ!?あんた!!(小声)」
[216] 《女帝》「だって嘘つけないもん本当の事でしょこれは。(普通の声)」
[217] 《女教皇》「嘘つけないって状況を考えなさいよ、状況を!(小声)」
[218] 《女帝》「本当のこと話すとまずいことでもあるの?(普通の声)」
[219] 《女教皇》「わかってるくせに!(小声)」
[220] 《女帝》「うっさいなぁ〜」
[221] 唯「は・・・?」
[222] 唯「ってゆうかっ状況を説明してくださいっぜんぜんわかんないんですけどっ(怒)」
[223] 《女帝》「そうよね。ほら、《女教皇》、唯もこういってるし。早くダーリンのところ、戻りたいでしょ?(にっこり)」
[224] 《女教皇》「そっっそりゃぁ早く彼に会いたいよ。でもこれってアカシック・レコードに記録されてないんじゃないの?」
[225] 《女帝》「記されてるわよ。《魔法使い》の時もだったでしょ。」
[226] 唯「アカシックレコードとか、分けわかんないことばっか言ってないで、早くライコをだしてよ!!知ってるんでしょ?!」
[227] 《女帝》「ライコ・・・ねぇ・・・」
[228] 2人は顔を見合わせ、言葉に詰まった。
[229] 《運命の輪》「こんにちは。」
[230] 《女教皇》「《運命の輪》・・・!(はっ、唯は・・・)」
[231] 《女帝》「心配しなくていいわよ。」
[232] 《女教皇》「えっ?時間が・・・?」
[233] 《運命の輪》は、現れた瞬間に時間を停止していた。
[234] 《女教皇》「《運命の輪》・・・・・どうしてこんなことしたの??《魔法使い》の時だって!」
[235] 《運命の輪》「私ではないわ。」
[236] 《運命の輪》は《女帝》と顔を合わせ、お互い微笑んだ。
[237] 《女教皇》「《運命の輪》以外に時間を止められる人物っていったら・・・」
[238] 《女教皇》「じゃあ・・…?」
[239] 《女帝》「あたしの他に時間移動出来る精霊って言ったら?さぁ誰かしら、《女教皇》。」
[240] 《女教皇》「ええっと……《死神》、《皇帝》、《世界》、《審判》、《力》、《隠者》?」
[241] それと《運命の輪》、と《女教皇》は付け加えた。
[242] 《女帝》「そうそう。で?《女教皇》、誰だと思う?」
[243] 《女教皇》「え、でもその中で《運命の輪》みたく時間を止められる精霊っていったら・・・。《運命の輪》以外には・・・《死神》?」
[244] 《女帝》「ご名答。」
[245] 《死神》「そのとおりだ。」
[246] と、《死神》は現れた。
[247] 《女教皇》「《死神》!!どうしてこんなことするんだよ!」
[248] 《死神》「しなくてはいけなかったからだ」
[249] 《女教皇》「どういうこと?」
[250] 《死神》「これはアカシックレコードに記されているのだ。まあしなくても改変にはなるがね。」
[251] 《女教皇》「へぇ・・・?《死神》が改変しないなんて珍しいじゃない」
[252] 《運命の輪》「で、どうしたの、《死神》。」
[253] 《死神》「実はね…」
[254] と、《死神》は微笑む。
[255] 《死神》「私はティターンズの《死神》なのだよ。確かに私は将来プロメテウスになるらしいが、今の私は間違いなくティターンズだ。」
[256] 《女教皇》「テ、ティターンズの《死神》なの!? 」
[257] 《死神》「そうだ。未来においてどうなるかはわからないが、今の私の協力者は《隠者》だ。言質をとってもいい。」
[258] 《女教皇》「ふぁあ?どっどういうこと??」
[259] 《女帝》「全部理解しようとしなくていいのよ。ただ、ここにいるのはそういう存在なんだって思っときなさい。」
[260] 《女教皇》「で?あたしは《死神》がこうした理由をまだ聞いてないんだけど?」
[261] 《女教皇》が《死神》をじとりと睨みつける。
[262] 《死神》「ん?」
[263] 《女教皇》「だって、アカシックレコードに記されていることとはいえ、しなくてはいけない理由が他にもあるはずでしょ」
[264] 《死神》「ははは、なかなか鋭いね《女教皇》。」
[265] と、苦笑する《死神》。
[266] しかし、《死神》はただ微笑むばかり。
[267] 《女教皇》「…そんなに理由を話したくないわけ?」
[268] 《死神》「これもアカシックレコードに記されていることだ。話したくないではなく、話せないだ」
[269] 《女教皇》「わかったわよ。理由は聞かない。そのかわり、何しに来たのか教えてよ」
[270] 《死神》「《女教皇》を元の時代に戻すためだ。」
[271] 《女教皇》「じゃあ、<<魔法使い>>のところに返してくれるんだね?」
[272] 《死神》「かならずしも《魔法使い》のところとはかぎらないが」
[273] 《女教皇》「今度はいつの時代に連れて行く気?」
[274] 《死神》は口を閉ざしたまま。
[275] 《女教皇》「それも話せないんだね。」
[276] 《女帝》「来るよ。」
[277] 《女教皇》「えっだれが・・・。」
[278] 《運命の輪》「《隠者》・・・。来たわね。」
[279] 眩い光が辺りを照らした。
[280] 《女教皇》「えっ!どうして?《隠者》は時間移動できないはずじゃ…」
[281] 《女帝》「バカね。《隠者》の協力者が誰だと思ってるの?」
[282] 《女教皇》「a」
[283] 《女教皇》「あ…」
[284] と《女教皇》が呟いたと同時に、《隠者》が現れた。
[285] 《隠者》「お久しぶりです。皆さん。」
[286] 《死神》「おや、プロメテウスの私か・・・」
[287] 《死神》「ティターンズ」
[288] 田村桂子「そうね。ティターンズのあなただわ。」
[289] 《女教皇》「田村…どうしてあんたまで…」
[290] 田村桂子「別に良いじゃない。彼の協力者はあたしよ。」
[291] そう言って田村は暗く微笑んだ。
[292] 《女教皇》「そんなこと聞いてないよ。あたしが聞きたいのは、これがどうゆうことか、よ。」
[293] <<女教皇>>はそう言って田村をにらみつける。
[294] 《女帝》「すぐにわかるわよ」
[295] 《女教皇》「え!?」
[296] 《女帝》「「あなたは<<女教皇>>でありライコでもあるのよ」」
[297] 《女帝》「あなたはライコの姿で唯と暮らすことだって出来るの」
[298] 《女帝》「失った日常を取り戻したくはない?」
[299] 《女教皇》「やめて」
[300] 誘惑に負けちゃだめだ。これで言質を取るつもりなんだ。
[301] 田村桂子「望めば、あなたは碧川さんとずっと一緒にいられるわ」
[302] 《女教皇》「やめて!」
[303] 《女帝》「あたしも、できれば唯といたかった。たとえ今《皇帝》が側にいてくれても、その想いは消えない」
[304] 《女教皇》「やめてよ!!いい加減にして!!」
[305] 田村と《女帝》の悪魔のように甘い囁きを振り切るかのように叫んだ。
[306] 《死神》「運命の犬のままで、君はいいのかい?」
[307] 《女教皇》「あたしは・・・」
[308] 《隠者》「我が同胞をたぶらかすのは感心しません、《死神》」
[309] 《隠者》
[310] 《女教皇》「《隠者》・・・」
[311] 《死神》「私は選択肢を提案しているだけにすぎない。選ぶのは《女教皇》なのだよ、《隠者》」
[312] 《女教皇》の前に立ち、《死神》とにらみ合いをする《隠者》。《女教皇》は《隠者》を見あげ、少しホッと胸をなでおろした。
[313] 田村桂子「何を安心しているの?あたしは《隠者》のどうでもいい言葉より、あなたの答えを聞きたいの」
[314] 《女帝》「いつ何が起こるかわからない、《魔法使い》と共にティターンズとして生きていくか、平穏に親友と過ごすか」
[315] 《女教皇》「…でも、あたしが“本当の”ライコに戻るなんて…、そんなこと、できないよ」
[316] 田村桂子「《魔法使い》が心配なの?」
[317] 田村桂子「《魔法使い》は貴方が望めばどんな願いも適えてくれるわよ」
[318] 田村桂子「たとえ自分が消えてしまうとしてもね」
[319] 《女教皇》「《魔法使い》がそんなことするわけないじゃない」
[320] 首を横に振って田村の言葉を否定する。
[321] 《女教皇》「アンタは《魔法使い》のこと分かってないからそんなことが言えるんだ」
[322] 《女帝》「分かってないのはアンタのほうよ」
[323] 《女教皇》「《女帝》に《魔法使い》の何が分かるっていうんだ!」
[324] 《女帝》「あら」
[325] 《女帝》「じゃあ《女教皇》は分かってるってわけ?」
[326] 《女教皇》「《魔法使い》は他人のために自分を犠牲にするなんてことはしないよ」
[327] 《女帝》「ふぅん?断言したわね」
[328] 《女帝》の目つきが変わった。目を細めて《女教皇》を見ている。
[329] 《女教皇》「だってそうじゃない。いつだって、アイツは自分のためにしか動かなかった」
[330] 《女帝》「だから、《魔法使い》は《女教皇》のために、自分を犠牲にすることはない、って?」
[331] 《女教皇》はこく、と首を縦にふった。
[332] 《女帝》「パータレ。だからアンタは何も分かってないのよ」
[333] 《女教皇》「なっ!」
[334] 《女帝》「《女教皇》は自分の予想で勝手に決めつけてるだけじゃないの。そんなの、単なる被害妄想もいいとこよ」
[335] 《女帝》「あーもう!!われながら情けないわ!!いい?今ここで、はっきりさせてもらうわよ!」
[336] 《女教皇》「アンタは信じるの?信じないの?どっち!」
[337] 《女教皇》「ど、って・・・え?なにが・・・」
[338] 《女帝》「《魔法使い》を信じるか!信じないか!」
[339] 田村桂子「自分の協力者を、信じるか信じないか。」
[340] 《死神》「わたしは信じているよ、《隠者》のことを。たとえ結果が良い傾向でなくとも」
[341] 《隠者》「私もです、《死神》」
[342] 田村桂子「協力者を信じてない協力者なんてあなただけではないかしら」
[343] 《女教皇》「田村だって、《死神》のことも嫌いだって、言ってたじゃない!」
[344] 田村桂子「嫌いよ。だけど、信じると好き嫌いの感情は別。当然じゃない」
[345] 田村でさえ・・・。どうしてあたしだけ?!
[346] ショックで《女教皇》は放心してしまった。
[347] 《女帝》「皆、協力者を信じてる。けど、アンタは違うみたいね」
[348] 田村桂子「さぁ、自分の思惑通りにさせたいんでしょう?自分が幸せになりたいんでしょう?だったら、それは変えるしかないわ」
[349] 《女帝》「幸せになりたい、って思うのは」
[350] 《女帝》「みんな普通に願っていることよ?自分が不幸になるなんて、あたしは絶対嫌だもの」
[351] 《死神》「さぁ、きたまえ。我がプロメテウスに」
[352] プロメテウス側の《死神》が《女教皇》に手を差し伸べる。
[353] 《力》「そうはさせませんわ」
[354] 《力》「「あなたはティターンズですわ」
[355] 《力》「だからあなたは幸せなのですわ」
[356] それだけ言うと、《力》は鞭を構えた。
[357] 何をするつもり?!
[358] 《力》「見せて差し上げますわ。《魔法使い》を」
[359] 《女教皇》「きゃぁああああああああああ!!」
[360] 《女教皇》はあっという間に飛ばされてしまった。
[361] 《女教皇》がとばされた時代は・・・
[362] 《魔法使い》「《審判》よ!」
[363] 《審判》「そうカッカするな、寝取られ男くん」
[364] 《魔法使い》「《女教皇》になにをするつもりだ!」
[365] 《審判》「ほぅ?かの女が心配なのか?」
[366] 《魔法使い》「当たり前であろう《女教皇》は《魔法使い》の協力者なのだから」
[367] 上空から、《力》、《女教皇》が二精霊の様子を見ている。
[368] 《力》「よく見ていなさい。自分の目で、《魔法使い》があなたをどう思っているのかを」
[369] 《女教皇》「・・・今だって、協力者だから、自分の足かせにならないか心配してるだけに見えるけど」
[370] 《力》「短絡的ですわ。もっとじっくり見なさい」
[371] 《女教皇》「た、たんらく・・・。アンタに言われたくないけど」
[372] 《審判》「《魔法使い》はかの女をなんだと思っている?」
[373] 《魔法使い》「《魔法使い》の協力者だ」
[374] 《女教皇》「ほら、やっぱり・・・」
[375] 《魔法使い》「そして、絶対に失くすことができない、唯一《魔法使い》が愛する女。」
[376] 《審判》「かの女を、実は《力》が殺した、などと言ったら?」
[377] どこか楽しそうに《審判》が言う。
[378] 《魔法使い》「なんだと?」
[379] 《審判》「まぁ、それは冗談として、だ。《力》よ、降りてくるがよい」
[380] 《力》「いきますわよ。」
[381] 《女教皇》「え!ええっ!!」
[382] 《力》が鞭で《女教皇》を縛り、そのまま下へと引っ張っていった。
[383] 《魔法使い》「《女教皇》!!」
[384] 《力》「今、《女教皇》は私の手の内にありますわ。ここで消すことも、このまま《魔法使い》にお返しすることもできますのよ」
[385] 《女教皇》「ま、《魔法使い》・・・・」
[386] 急な展開に、《女教皇》自身ついていけない。この状況、どうすればいいのかすら分からなかった。
[387] 《魔法使い》「《力》よ、この先、《女教皇》に指一本でも触れてみろ・・・」
[388] 《力》「あら、触れたら、どうしますの?」
[389] 《魔法使い》「この場から貴様を消す!!」
[390] 《魔法使い》が高貴なる錫杖を構えた。
[391] 《力》「では触れちゃいましょうか」
[392] 《力》「できるかどうか考えて発言されたほうがいいですわよ」
[393] 《魔法使い》「《力》よ!!」
[394] 《審判》「《魔法使い》、これから《女教皇》がどうなるか、とくと見ておくがよい」
[395] 《女教皇》「《魔法使い》!!」
[396] 《力》「《女教皇》は黙ってていただきますわ。《審判》」
[397] 《審判》「vau」
[398] 《審判》が”言霊”を使い、《女教皇》の動きを封じ、声まで封じた。
[399] 《魔法使い》「《力》《審判》ティターンズではなかったのか!!」
[400] 《魔法使い》「こんなことを 《魔法使い》は認めない」
[401] 《力》「あなたに認めていただかなくて結構ですわ」
[402] 《審判》「左様。それよりも《魔法使い》は己の立場というものが分かっていない」
[403] 《魔法使い》「《魔法使い》の立場だと?」
[404] 《力》「私たちは、足手まといになるような同胞はいりませんの」
[405] 《魔法使い》「《魔法使い》の力を知らぬからそんなことが言えるのだ」
[406] 《審判》「では、かの女を与たちから救ってみるがよい」
[407] そう言った途端、《力》は《女教皇》ごと鞭を振り上げた。《女教皇》はさながら人形のようだ。
[408] 《魔法使い》「《女教皇》!!」
[409] 《力》「足手まといである《女教皇》を殺して、新しく強い協力者を見繕ってあげますわ。ティターンズは強くなくてはなりませんのよ」
[410] 《審判》「良かったではないか、《魔法使い》」
[411] 瞬間、《力》、《審判》に向けて、強い光と衝撃が襲ってきた。
[412] 《力》「まぁ。《女教皇》が側にいるのに”崩壊”を使うなんて。あなたは協力者を何と思っていますの」
[413] 《魔法使い》「ふん、その前に《魔法使い》が《女教皇》を救い出しているさ」
[414] 《魔法使い》の腕の中には、未だ動けない《女教皇》がいた。
[415] 《力》「いつの間に・・・」
[416] 《審判》「《力》よ、セリフが棒読みであるぞ?」
[417] 《力》「そうですわね、慣れない手加減はするものではありませんわね」
[418] 《魔法使い》「・・・どういうことだ」
[419] 《力》「どうもこうもありませんわ。手加減しましたの」
[420] 《魔法使い》「《魔法使い》が弱いから、とでも言うか」
[421] 《審判》「いかにも!」
[422] 《審判》が”言霊”を解いた。
[422] 《審判》が”言霊”を解いた。
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[422] 《審判》が”言霊”を解いた。
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[422] 《審判》が”言霊”を解いた。
[422] 《審判》が”言霊”を解いた。

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