【今までも、これからも・・・】

 

 

投稿者:ゆりなさん


「もう冬になるねんな、《恋人たち》」
「うん、そうだね、文華」
 
この場所は、もう落ち葉が多くなっていた。二人が居るのは円海学園資料館前。 この時間は誰もいない。何故なら、普通は授業の時間だからだ。珍しく、今日文華は授業を…いや、学校自体をサボっていた。親友で、寮の同室である陽子には、「具合が悪いから」といって学校を休んでいる。理由は…
 
「次のフェーデの相手は誰なんやろな?《恋人たち》は聞いとるん?」
「いや、《運命の輪》に指定されただけだから、僕も詳しい事は知らないよ」
《恋人たち》は嘘をつけない。おそらく、本当に急な連絡だったのだろう。
 
「…うちはもう、あんな思いはしとうない…」
「文華…」
 あんな思い。初めのフェーデで、文華はプロメテウスの《太陽》によって親友の陽子を殺された。自分の腕の中で、彼女は冷たくなっていった。そのときの悲しみや辛さを指しているものだろう。文華の体が微かに震えていた。
 
「大丈夫だよ、文華」
《恋人たち》はそう呟く。その声に、文華は振り返る。
 
「文華はもう、強いんだから。『運命のタロット』の協力者だからって意味じゃない。君の傍には、君を必要としてくれる人がいるんだから。そうだろう?」
そう言って、《恋人たち》は微笑んだ。文華は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに微笑んだ。
 
「そやな。今のうちには《恋人たち》がおるもんな。」
「陽子もいるよ」
「わかっとう。皆いてくれはるんやもんな」
 
今までも、そしてこれからも。自分を必要としてくれる”誰か”の為に――
 
「うちは負けへん。大丈夫や」
そういって、文華は笑った。今までとはちょっぴり違う、新しい”強さ"を胸に秘めて…
              Fin.

 

 


投稿者後書き

この作品、文華の喋り方がおかしいです…が、気にしないで下さい(何)
今の私にはこれが精一杯です(汗汗
 あと、フェーデの相手については、色々と想定したほうが楽しいかな〜、と思って
敢えて明記しませんでした。色々と相手を考えてみてください(笑)ではでは。

部長のコメント

《恋人たち》が優しい!
個性豊かで自分が一番な性格の多い(笑)タロットの精霊達と同じ精霊だとは思えないくらい文華の事を想ってていい感じです〜。
でもって精神的にも強くなった文華も素敵です(^.^)

副部長のコメント

フェーデへの不安と恐怖を感じる文華を、柔らかくでもしっかりと受け止めて励ます《恋人たち》が素敵ですvv
文華の事をちゃんと見て支えてくれてるなーって、嬉しくなりました。
こういう繰り返しで、2人の信頼関係が深くなっていくんでしょうね(^^)
頑張れ、文華!!
こちらまで元気になれそうなお話を、ありがとうございました♪

 

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