【幸せの青い鳥】

投稿者:うに太郎さん

―――――ラ・・・・・コ・・・イコ

 「だれ?何?聞こえないよ」

―――――ラ・・・イコ
    
 「ライコ?それが私の名前なの?あなたは私を知ってるの?」

―――――ラ・・・・コ

 「まって!行かないで!!あなたは誰なの?」

―――――ライコ・・・守ってやる

          夢はいつもそこで途切れる

  目が覚めるといつも目じりに涙が浮かんでいた。夢の事はほとんど覚えていないが

  覚えている事といえばエメラルドグリーンの瞳 そして 青空色のマント・・・・

  時はまだ深夜 隣には髪に茶がかかった彼女と同じぐらいの年齢の男性が

  寝息を立てて眠っている ミーナはその男性を起こさないようにベットから降り

  机においてある革のケースの中から タロットカードを取り出した

  「夢の中の人はあなたなの?」

   カードは答えない
 
  「あなたは私が記憶を無くす前から 持ってるから私の事は色々しってるんだよね」

   カードは答えない

  「私は誰?・・・・・・・ううん 私は何者なんだろ?」

   カードは答えない

            ふいに涙が溢れ出す

  「私・・・・・何か大切なこと忘れちゃってるんだ・・・それが何か 前から
 
   色々思い出そうとしてもダメなんだ・・・・」

  手放してしまった『幸せの青い鳥』はもう私のところに戻ってきてはくれない

  「さみしいよ・・・・・私が知ってる人は誰もいない・・・・

   私のことを知ってる人も誰もいないカインも信用できるかわからない・・・・寂しいよ・・・・」

   ――――――――寂しいよ 魔法使い――――――――――

   「まほう・・・・つかい・・・?」

   ふと頭に浮かんだ名前が ミーナにとって『幸せの青い鳥』の名前なのか

   今のミーナにはわからない
   
   「こんな所で終わってたまるもんか!」
 
   最初は彼女だってそう思ってた・・・・しかし孤独という魔物が彼女をここまで追い詰めた

   もう彼女は『幸せの青い鳥』を信じて待つしかないのだ
   
   

   空が明るくなってきた 昨日と同じように太陽が昇り始めた

   本当は太陽なんか出ないくて良い・・・・・・・太陽がでてしまったら

   空と同じ色の『幸せの青い鳥』が空に隠れてしまうから・・・・・

   夜の闇色の方が青はよく見えるかも知れないから太陽なんていらない・・・・・

   

  ――――――――――『幸せの青い鳥』とミーナ・・・・ライコが出逢う日は

                           すぐそこまで来ている―――――     


投稿者後書き

ニューヨークでのライコです
記憶が無いから誰も信用できないけれど
記憶なくす前から持っていた、タロットカード
だけは信用できる・・・・・・・ってな感じですね
次回作(送るつもりです:笑)は 魔法使いも出したいです!

部長のコメント

実は運タロ13巻ラストのあの強い意志を持った彼女と、カインのところにいるミーナが、「私の中で、結びつかない…そのうちその辺も原作本編で描かれるのかしら〜」などとちょっとだけ、感じてたのですが、そのスキ間を埋めるようなナイスな小説ありがとうございましたvこの小説のおかげで私のライコへのラブ度がますますアップです〜(笑)

副部長のコメント

ライコ〜・・・切なくって泣けてきちゃいました。
もう、そこまで出かかっているのにどうしても思い出せない記憶。あんなに気が強か
ったライコがこんなに弱くなってしまうなんて。
それだけライコにとって《魔法使い》の存在が大きいってことですよね!!
早く、2人が一緒に笑っているシーンが見たいです。
こんなに素敵なお話を、本当にありがとうございました♪

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